輪島塗包丁

輪島塗包丁(拭き漆仕上げ)月満ちる蒔絵

拭き漆仕上げとは、輪島では古くからある加工法で、木肌や木目の美しさを残しながら漆の保護力を活かすための技法。漆を薄く塗り、拭き取る。硬化したら、また塗って拭き取る。これを何度も繰り返して、木肌を水分や油分から守り、耐久性を高め、美しさを加味しています。
月満ちるは、拭き漆を施した鞘に白檀塗の月を描き、秋草を配して郷愁をそそる秋の風雅を描きました。美しい四季のある日本の、とりわけ秋の寂しさ静けさを「侘び寂び」と感ずる美意識を蒔絵にて表現しました。

輪島塗包丁

「月満ちる」は、「満を持す」「時が来る」などの意を表しています。

時間をかけて準備をし、飛躍の時がやってくる。

やがて芽が出て、花が咲く。

新月から次第に大きくなり、満ち満ちた満月の時を迎える月。

美しく満ちる月に、そんな思いを込めました。

 

白檀塗(びゃくだんぬり)とは

白檀(びゃくだん)は、香木のひとつです。薫り高く色も美しい白檀の、高貴で優雅なイメージを漆芸で目に見える形に表した技法が白檀塗です。
白檀塗は、神仏具や茶道具に多く用いられる、高度な技術を要する技法で、古くから用いられてきています。
白檀塗の月の描き方は、漆で描いた月に銀粉を蒔き付け、銀の月を仕上げます。
その上に朱合漆という半透明で茶褐色の漆を塗り仕上げます。
奥行や空気感さえ感じられるような、なんとも不思議な深みのある月に仕上がります。

溜透かしと白檀塗の違い

溜透かし蒔絵と、白檀塗。漆で描いて銀を蒔き、朱合い漆を塗り仕上げる、という技法は似ていますが、別ものです。
溜透かしは蒔絵技法の一つで、白檀塗は塗技法の一つです。模様を描き美しく見せるのが溜透かし蒔絵、広く塗面を美しく見せるのが白檀塗です。

輪島塗包丁

白極上霞とは

白極上霞は、切れ味が鋭く長年包丁製作に使用されてきた「白鋼」を熟練職人が手で鍛造し製作したもので、この輪島塗包丁に使用されています。

「霞」とは包丁の製法の一つで、2種類の鉄を組み合わせて包丁を造り上げる製法で、耐久性が高く研ぎやすいことが特徴。
そして「鍛造(たんぞう)」とは、鋼の塊を熱しながら手で叩き伸ばして行く作業のこと。温度が低いと時間がかかってしまうのですが、温度を上げすぎると鋼の組織が壊れて切れ味などの性能が落ちてしまう、という2面性を持つ作業です。子の日の職人さんは包丁の性能を最大限に引き出すため、極力低温で時間をかけて鍛造しているのです。

拭き漆仕上げ・月満ちる蒔絵

価格:110,000円(税別)

寸法:刃渡り20cm 厚み3mm
鞘をつけた時の長さ:37cm 高さ4cm
専用アクリルケース寸法:W6.6 H4.5 長さ38.6cm