輪島漆器大雅堂 × 築地子の日

日本の伝統と技術を守る者同士が手を取り仕上げました。
絢爛でありながら驚きの切れ味を誇る、輪島塗の包丁です。

創業1924年、行商としてスタートして一世紀近く、輪島塗の伝統と技術を守ってきた大雅堂。
この度、同じく長年にわたり和包丁の伝統と技術を継承してきた株式会社 子の日さんにご協力いただき「輪島塗包丁」を製作いたしました。
お互いの伝統と技術が見事に重なり合い、美しさと機能性が共存したこの輪島塗包丁。
その裏側にあるストーリーをぜひご一読くださいませ。

包丁の鞘を輪島塗にて仕上げた理由

輪島塗の製作工程は、天然木を使用し天然漆を用いる所等も合わせて、古くから伝承されてきた工程を現在でも変わらずに施しており、国指定重要無形文化財に指定され守り続けられています。

今回製作した輪島塗包丁の鞘は、その工程を施して輪島塗包丁として仕上げています。
輪島塗の工程を施すことは、時間と手間がかかり、また費用も掛かります。
輪島塗の名前を付けなくても、少しでも手に取ってもらいやすい価格にできないか?

なのにどうして今回、輪島塗にしたか、その理由は、重ねた試作のうちにたどり着いた答えでした。

輪島塗から離れて、塗の工程を省いたり、簡略化したやり方を考えて、少しでも手に取ってもらいやすい価格に出来ないものか、と試行錯誤し試作しましたが、美しい塗や、蒔絵・沈金を活かすためには、やはり輪島塗仕上げにすることが一番の早道だ、と気づいたからです。

下地が美しいから、上塗りが美しく仕上がる。

布着せが施されているから、塗面を滑らかにするための研ぎを施しても漆が剥げてしまうことがない。
しっかりした下地と塗りのお蔭でふっくらとした塗面がしあがっているから、沈金ののみでしっかり美しく彫りすすめる事ができる。

蒔絵の際には、次の工程に入る前に研ぎを入れますが、その際にしっかりした塗のお蔭で塗面が剥げることなく、安心して作業を進める事ができる。

簡略化した工程で試作したところ、輪島塗では当たり前の作業で失敗が起き、それを修正するために時間と手間がかかり、また、次の工程でも同じことが起こり、、、。
結局、時間も手間もいつも以上にかかり、次の工程の職人にも迷惑がかかり、安心して作業ができず、いいものに仕上がりませんでした。

このことを教訓として、やはり今回開発する包丁は輪島塗で製作することに致しました。
自信を持って末永くご愛用頂くために、また美しい模様を、塗をお楽しみいただくために。
そのために輪島塗の工程は、今まで守り続けられてきたことを、塗師屋の五代目となって30数年、改めて感じました。

刃物へのこだわり

日本刀の伝統的な製作方法を受け継いで、進化・発展を遂げてきた和包丁。
この輪島塗包丁に使われている子の日さんの包丁は、最高峰の和包丁を求めるお客様にご満足いただけるよう、長年培われてきた伝統に最新技術を盛り込むことで、現在製作できる最高の和包丁をお届けするために時間をかけ、一本一本丹精をこめて製作されたものです。

白極上霞とは

白極上霞は、切れ味が鋭く長年包丁製作に使用されてきた「白鋼」を熟練職人が手で鍛造し製作したもので、この輪島塗包丁に使用されています。

「霞」とは包丁の製法の一つで、2種類の鉄を組み合わせて包丁を造り上げる製法で、耐久性が高く研ぎやすいことが特徴。
そして「鍛造(たんぞう)」とは、鋼の塊を熱しながら手で叩き伸ばして行く作業のこと。温度が低いと時間がかかってしまうのですが、温度を上げすぎると鋼の組織が壊れて切れ味などの性能が落ちてしまう、という2面性を持つ作業です。子の日の職人さんは包丁の性能を最大限に引き出すため、極力低温で時間をかけて鍛造しているのです。