輪島塗包丁

不動明王の火炎

この火炎は、不動明王の背にある、煩悩を焼き尽くそうと燃える炎をイメージしています。
力強く熱く燃える炎は、目指すところへまっすぐ導いてくれる道しるべのようです。
不動明王は、憤怒の表情で恐ろしいイメージですが、これは、救いがたい者でも力づくででも御救い下さるという意を表している頼もしいお姿だそうです。
また、不動明王とは、お釈迦様が悟りを開いた菩提樹の下で、煩悩を焼き尽くしているときの姿だともいわれ、その時のお釈迦様の内証をあらわした姿であるとも言われます。
蒔絵の技法は、色研ぎ出し蒔絵。

輪島塗包丁

光の角度で表情が変わるのも、輪島塗の魅力です。

色研ぎ出し蒔絵とは

まず、模様を漆で描いて粗い金粉を蒔き、金粉の固着の為に(通常は半透明の漆を塗りますが代わりに)色漆を塗ります。
この火炎の場合は、漆で描いた火炎に金粉を蒔いて金色の火炎にし、その上に赤い色漆で再度火炎を描いて金粉を固着させます。(この時点で火炎は、金が見えなくなって赤い色に見えています。)
硬化した後、先に蒔いた金の部分を、炭を用いて研ぎ出します。
金の上部を半分ほど研ぎ出すと、色漆の間から金が見えるようになります。
研ぎ出し蒔絵は、見る角度によって、色漆が多く見えたり、金が多く見えたりして、大変表情が豊かな蒔絵です。高度な技術が生み出す、贅沢な楽しみです。
この火炎蒔絵は、こうして火炎の下地を色研ぎ出し蒔絵で描き出し、更にもう1層、火炎の模様を色研ぎ出し蒔絵を繰り返し重ねて仕上げました。赤とも見えるし金とも見える炎の美しさを表現致しました。

輪島塗包丁

白極上霞とは

白極上霞は、切れ味が鋭く長年包丁製作に使用されてきた「白鋼」を熟練職人が手で鍛造し製作したもので、この輪島塗包丁に使用されています。

「霞」とは包丁の製法の一つで、2種類の鉄を組み合わせて包丁を造り上げる製法で、耐久性が高く研ぎやすいことが特徴。
そして「鍛造(たんぞう)」とは、鋼の塊を熱しながら手で叩き伸ばして行く作業のこと。温度が低いと時間がかかってしまうのですが、温度を上げすぎると鋼の組織が壊れて切れ味などの性能が落ちてしまう、という2面性を持つ作業です。子の日の職人さんは包丁の性能を最大限に引き出すため、極力低温で時間をかけて鍛造しているのです。

黒塗・火炎蒔絵

価格:142,000円(税別)

寸法:刃渡り20cm 厚み3mm
鞘をつけた時の長さ:37cm 高さ4cm
専用アクリルケース寸法:W6.6 H4.5 長さ38.6cm