溜すかしとは
溜すかしとは、うっすらと朱が透けて見える趣のある塗の技法・溜塗に、蒔絵の楽しみを加味した技法です。
輪島塗の下地が仕上がったら、上塗り前に中塗りを施します。
この中塗りに、朱の漆を用いて塗り、次の上塗りには透明度の高い朱合漆(しゅあいうるし)を塗り仕上げる、これが溜塗ですが、この作業の途中の、中塗りの朱漆の上に、銀で蒔絵を施してから上塗りする技法が、溜め透かしです。
この溜塗や溜透かし技法は、時とともに漆の透明化が進み、朱や蒔絵が一層透けて見えてくる、という味わい深い輪島塗です。
この富士超えの龍蒔絵は、この溜透かし技法をもう一段進化させた輪島漆器大雅堂オリジナル手法で仕上げました。
通常、溜透かしで見える蒔絵は、表面の塗と面一です(蒔絵の上に漆を塗っているので)が、立体感のある溜透かし蒔絵にするために、溜透かし蒔絵の部分を抜き出して、鞘の表面に浮き出るように描きました。龍や富士山の蒔絵を手で撫でて頂くと、漆が盛り上がっていることがわかります。
こうすることで、光の当たり具合で立体感が感じられる面白い蒔絵になりました。
溜透かしと白檀塗の違い
溜透かし蒔絵と、白檀塗。漆で描いて銀を蒔き、朱合い漆を塗り仕上げる、という技法は似ていますが、別ものです。
溜透かしは蒔絵技法の一つで、白檀塗は塗技法の一つです。模様を描き美しく見せるのが溜透かし蒔絵、広く塗面を美しく見せるのが白檀塗です。
白極上霞とは
白極上霞は、切れ味が鋭く長年包丁製作に使用されてきた「白鋼」を熟練職人が手で鍛造し製作したもので、この輪島塗包丁に使用されています。
「霞」とは包丁の製法の一つで、2種類の鉄を組み合わせて包丁を造り上げる製法で、耐久性が高く研ぎやすいことが特徴。
そして「鍛造(たんぞう)」とは、鋼の塊を熱しながら手で叩き伸ばして行く作業のこと。温度が低いと時間がかかってしまうのですが、温度を上げすぎると鋼の組織が壊れて切れ味などの性能が落ちてしまう、という2面性を持つ作業です。子の日の職人さんは包丁の性能を最大限に引き出すため、極力低温で時間をかけて鍛造しているのです。
溜透かし富士越えの龍蒔絵
価格:152,000円(税別)
寸法:刃渡り20cm 厚み3mm
鞘をつけた時の長さ:37cm 高さ4cm
専用アクリルケース寸法:W6.6 H4.5 長さ38.6cm